星座的布置
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海のない手のひらの庭
土を踏む三脚の椅子
雪、重なる雪、そのあいだに
燃えるものがあるなら

空白を焚きつける
指先の罪悪を冷たい鍵にする
小さな灯りに目を細める
たったふたつの隠微な痙攣

光、降りる朝に遺された爪痕
重なっては崩れる雪片
堆積する間もなく滅びてゆく
か細い陰影だけを残して

いつか肘掛けに置かれていた
精悍で滑稽ですらあった腕
健全な重み、溢れていた緑
その陰で交わされた対話

舌先に遺された発音
繋がらなかった対話の描線
回遊する雪虫が
白い風景に溶け込んでゆく

人の形象が夜を演じる
星の口唇術が指先を誘う
窓の向こうから
手のひらを見せながら

網膜にひろがる街
あたらしい椅子の匂い
まだ雪は、届けられたばかり
声は失ったばかり


自由詩 星座的布置 Copyright sample 2014-03-14 01:07:03
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