ANGELIC CONVERSATIONS
カワグチタケシ

大人は判ってくれない
どうでもいいような深刻な悩みと
爆走するハートを抱えたまま俺たちは
夜の待つ街へといつもいつも
それには理由がある
夏の朝まだ明ける前に飛び出していくフルーツたちを
追いかけて走り出したリアウインドウから
思い切り手を振る君はまるで見捨てられ雨にうたれる小犬
だから俺は笑い出したいのを必死でこらえ
それでもこらえきれずにすこしだけ笑う

ジーザス 大人は判ってくれない
それでも文明は 文明の産み落としたハードウエアは
いくつかの思いもよらない夢を叶えてくれた
朝焼けのいちご畑から
遠い土地でまだ眠っている恋人におはようの言葉をおくる
どしゃ降りの雨の中から
遠く乾いた土地にいる恋人におやすみの言葉をおくる

多分君は気づいていないが
その文明の磁気で君の鼓動(ハートビート)は乱される
こんな気持ちうまく言えそうもない
なんて思いながらやっぱりうまく言えないときや
それでも黙りつづけていられないときは
一体どうしたらいい?
WORDS DISOBEY ME
秒きざみで消耗していくときや
言葉は裏切り なんて
下らない繊維のことばかり気にしてみたり

ハニー 大人は判ってくれない
説明のつかないぼんやりとした痛みと
爆走するハートを抱えて俺たちはいつも
自分の心拍音にばかり気をとられ
天使の会話が聞こえない

君にとって唯一幸運だったのは
俺がこの惑星に生きて存在しているということ
俺たちにとって唯一はっきりしていることは
俺たちはいつか必ず死ぬということ
俺たちがいつか必ず愛し合うように
走れ走れ走れ走れ
自らの鼓動と一体になれ
そしてその時はじめて君は天使たちの声を聞く


 


自由詩 ANGELIC CONVERSATIONS Copyright カワグチタケシ 2014-03-14 00:09:44
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