白いけむり
千波 一也



三月の外気は
まだまだ零下だから
白くけむるよ
吐息はみんな白くけむるよ
こちら北海道の三月は
まだまだ桜と無縁だからね
凍えるよ
着のみ着のまま出てきたのでは
凍えるよ
ひとりぼっちで待ち尽くしては
凍えるよ
白いけむりは
生きてる証だからね
おかしな顔でもつくってさ
吹き合おうかね
寒いからさ
せめて
おしくらまんじゅうみたいに
わらい合おうかね
白いけむりが
なんにも証せないのだったら
どんなにか冷たいのだろうね
どんなにか痛いのだろうね
往くことも
退くことも出来ないで
大事なものを
たきぎに代えて
代えざるを得なくて
白いけむりは
燃えていたんだろうね
きっと
待っているのかどうかもわからないで
時間も暦も味方にはなってくれないで
それでも
燃えるしかなかったんだろうね
あの三月も
この三月もきっと
白いけむりになっていくものを
その
けむりを立てるものを一心に
信じながら
呼んでいるのだろうね
見え隠れする春に
すべて
まざりあってゆくよりほかにないような
それぞれの
春に







自由詩 白いけむり Copyright 千波 一也 2014-03-12 15:25:34
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