一人芝居(その4)
星☆風馬

お題を3つもらい一人芝居を作るシリーズ
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お題 「ベートーベン」「七福神」「お正月」

目覚めると、窓からの光が部屋全体を包みこんでいる。宝満山の頂は雪をかぶり、まもなく小鳥が鳴きはじめ、妻はすでに起き、朝の支度でせわしく動いている様子。わたしはいつものようにポリーニのベートーベンをかけ、妻のパンティー(今日は赤の水玉だった)をずり下ろしたあとスカートをめくり、「おはよう」の挨拶

「明けましておめでとうございます」
「まだ明けてないよ」
「え?」
「だってまだ、明けてないから」
「どういうことですの?」
もう一度スカートをめくり上げたまま見つめると
「あ、いやん、、」赤くなってしまった

つまり、まだ、わたしはあけていない
要するに、その、、まだ、君を、あけていない

朝はポリーニのベートーベンと決まっている
ポリーニのベートーベンを聴きながら
トーストをつまみ、コーヒーを飲み
君は当然、机に突っ伏したまま、わたしに明けられている

「ああん、、、ア、アッ」
「これでやっと言えるね。聞かせておくれ、君の声で」
「アッ、アッ、、がとう、、ござい、ま、す」
「え?聞こえないよ」
「明け(られ)て、あり、がとう、、ござ、アッいます、、」
わたしは下半身でこたえ、妻は声でこたえ
繰り返される新年の挨拶

 あけまして おめでとう
 あけられて ありがとう
 こちらこそ ありがとう
 こじあけて ふといにくぼー
 しめあげよ たこつぼしゅうしゅく
 いくちょくぜんに とめないで
 3どめの そうろうはっしゃは ごめんだよ

「あ、しまった、、」
わたしはイってしまった

ポリーニは時に激しく、時に静かに、情動を掻き立てる
おまんのたこつぼ、時に激しく、時に静かに、わがにくぼーをしめつける
年明けの朝食の真っ最中だったけど、まず、大黒様がやってきて
大きな口でワッハッハと笑っていった
恵比寿様がやってきて、「完全にイってしもうとる」と妻の顔をのぞき込み
札束をばら撒いていった
弁財天がやってきて、あめのうずめと「服ぬげ服ぬげ裸になーれ、服ぬげ服ぬげ全裸になーれ」と全裸でおどっていった
福寿様と老人がカノープスに指をさし「セックスは長生きの元、味の元はグルタミン、よろしよろし、セックスよろし、グルタミンは味の元」
「若者よ女を抱(いだ)け」と言っていった
布袋様がやってきて、エレキギターを掻き鳴らし、ベイベー「ONLY YOU」おまえだけだぜ、ベイベー、と歌いながらパンクしていった
毘沙門天がやってきて、「喝!目を覚ませ!おぬし、夢でも見ておろう。リアルには嫁さんの尻も触れんくせに、この妄想オナニストが。おぬしにはリアルが全く足らんのじゃ!」と言って去っていった

ぼくは目が覚めた。今年の初夢は七福神のご登場
朝、ポリーニのベートーベンを聴いていると、妄想とアソコだけが逞しくなる。しかしこれではいけないということだ。ぼくのこの妄想壁、今年こそ、いや、今日こそ、超越する時だ

「やあ、おはよう」
ぼくは決意し、妻の尻をさわる、、、モミモミ
「いいお尻をしているね」
パンティーをずり下ろそうとしたとき赤い閃光が走った

−了−



散文(批評随筆小説等) 一人芝居(その4) Copyright 星☆風馬 2014-03-10 22:43:05
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