炬燵・・・
tamami

炬燵の上にはみかんの入ったざるが置いて在る
あたりまえのように炬燵に入り蜜柑の皮を剥く
子供の頃は至極あたりまえに蜜柑を食べたもの

蜜柑やりんごはいつも一箱ごとに八百屋さんが
届けてくれていた。そうだハタハタという魚も
一箱買っていたっけ。母はこれを一そねと言う

海老一そね等と。魚介類や林檎も蜜柑も木の箱
で届けられた。炬燵を思い浮べると様々な光景
が勝手に動き出しては目の前で再現されるのだ

炬燵で食事をさせなかっのはこぼすといけない
から、丸いテーブルで正座をさせられて食べた
肘をついては叱られ、正座を崩しては叱られた

炬燵に入り髪を梳かしては叱られたものだった
炬燵に肩まで入り寝そべっては叱られた思い出
叱られる全ての理由は「お行儀と汚れるから」

炬燵に入ると横着になった。炬燵から出るのが
嫌だった。いつの頃からか炬燵は練炭になった
炬燵とは掘り炬燵で灰汁は料理に使われていた

山菜のわらびは綺麗な緑色に変ることを知った
灰汁だしの時はこの灰汁を使うらしいけれども
私はそのやり方を知らぬまま大人になったのだ

炬燵から浮ぶ様々な光景は家族が夫々動きだし
食卓やお料理にまで及び炬燵の回りを動いては
生活全般が顕に映し出され浮上しては思い出す

炬燵とは温かな両親の思い出と共にあり続ける
お正月やお盆に市内のお祭りや町内会に迄至る
私が炬燵を置いていないのは横着になるからだ


自由詩 炬燵・・・ Copyright tamami 2014-02-27 21:59:57
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