ポエム
ユッカ

あの季節
自分のからだから、言葉がはがれ落ちてくのを
見てた

のりに浸した活字みたいに薄い
僕のなけなしのロマンチックを
きみの目がやさしくピンセットで
やわらかな原稿用紙に押さえつける音を
聞いてた

「誰が好きなの」
「え」
「詩人」
「ランボー、かな」

どうして
と、聞けば
詩なんて読まないから知らないよ
でも、きみの本棚にあったでしょう
ランボー
だから
読んでみたことがあるの
それだけ
言って、笑う


ぼくは、ただの投稿少年
だけど、きみはミューズ

きみが わらうと
古びた詩集のなかの
どのページの一節を
詩人が最も大事にしていたかがわかる

きみが 泣くと
捨ててしまったノートのなかの
僕のほんとうの名前だけが湿って
燃えずに残っていくような
気がする

きみはミューズ
ぼくは、ただの投稿少年
だけど、今だけ詩人
永遠の意味を知ってる


自由詩 ポエム Copyright ユッカ 2014-02-27 12:44:40
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