コルシカの兄妹
生田 稔


 コルシカの兄妹

悲しいコルシカの娘
今宵も兄を思いて涙ぐむ
あれはととせも前の頃
船で旅立つその兄と
思いせつなく別れたのは

地中海の波荒く
兄は行方も知れずに
そのまま帰りこず
今日も浜辺に佇みて
兄の愛せしチター弾く

近所の漁師の言うことにゃ
お前の兄はきっと今
囚われの身となりおりて
ガレー船を漕ぎおると
ああ、兄よ帰りませ

百年過ぎた今もなお
コルシカ島の浜辺には
この兄妹の愛の碑が
来る人々の涙ぐむ
印となりて残れるを


自由詩 コルシカの兄妹 Copyright 生田 稔 2014-02-26 16:27:28
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