風花の散るを
黒ヱ

偽りに指差し また偽りで暈す
心は鳴く 笑顔でいた景色のまま
大事なものだから 亡くせずに
零れた 憂いの雲

真白になっていく 消えていく
触れていた熱 遮り 冷やす風
呟く ほんのひと握りの本音に また強さを増し
固く閉じ込めていく 美しい思い出たち

記憶に住み着く 愛をくれた一人の
座る 腰掛ける氷の 冷たさよ
それでも 見える 絶える事のない 綺麗な顔
遠くなっていく 手を振ることはないまま


絆の強さを 比べる意味は無くて
この先を見据えるのは その幼さだから また抱きしめた
雛と この巣の中で

「会いたい」 と 初々しさに染める 
まだ見ぬ泣き顔で言った 少女
「会いにいくよ」 と 黒い烏
待つ時間と 訪れる時間 残酷に違い
「ねぇ これだね」
そこに愛が声上げて

吹き止むことのない筈の吹雪 いとも簡単に止めたのは
健気な熱を帯びる 裸足の迷い子
違い過ぎる それが心地よくて 近づきたい
初めて震える まだ伝えてない気持ちが


「幸せを数えたら 指が足りなくなった」
これまでと これから
そう言ったので また そう言いたい

寄り添う 握る手を今度は離さないと誓って
眺める また同じ空を 違う目で

振り向きはしないふたりに 駆けてくる 新たなひとり

明けていく空に 映え
互いに想い 新たに残していく 二人の景

星が流れる
抱き締める まだ幼い蕾 
交わす言葉に 募る思いの 儚さよ
水面に揺れて その間の様な日々
この先を またその先を

亡くせはしないから 春の香りで埋めた
咲く まだ知らない世界へと行く 


飛散する この時の流れに
咲く それぞれの違う花
どれも愛と幸せだと疑わず 澄んでいく  
誰もが想い 思う

「あなたに会えてよかった」 と


自由詩 風花の散るを Copyright 黒ヱ 2014-02-26 01:56:12
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