図書館
弓夜

なじめない街に
あたらしい図書館ができて

あたしはうれしくって
ちいさい頃から本だけはいつも傍にいてくれたと
はたと気がついて

そういえば
だれもいない 一人部屋

まだまだお母さんと眠りたかったけど
我慢してひとりで眠ろうとしてもこわくて眠れなくて
そんなとき本をひらいた
字じゃなくて
挿絵をまじまじと眺めたりした

図書館も
この街にはやくなじもうと
毎日緊張しているように
あたしには見えて
仲間だと思っていたけど

図書館のほうがすぐにでも
みんなの仲間入りして
みんなに大歓迎されるんだって
あたしどこかでわかってた

だからあたし
図書館をひとりじめしたかった
みんなの仲間入りなんてしてほしくなかった
でも
そんなことありえないっていうのも
あたし完全にわかってた


図書館が大好きなのに


正面玄関に行くと
あのころよりひときわ大きく見える図書館が
あたしを見下ろしている

見下ろしている

あたしは今もここにいるよ
これでも少しは進んだのかな
あなたにはどう見える?

あたしもあなたみたいになれるといいな
いつかね


自由詩 図書館 Copyright 弓夜 2014-02-21 21:43:25
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