擬死
イナエ


洗濯物の模様になって
取り込まれたテントウムシ
手足を縮めて
ぼく死んでまーす

アジサイの葉に
赤と黒の水玉模様
手を触れれば地面に落ちて
ころころ転がり
ひっくり返ってぼく死んでるでぇ

子どものころに父は言った
北海道いたとき熊に出逢い
走って逃げて石に躓き
どでーとのびて
息を止め ぼく死んだよ

仕事の上に仕事が乗って
残業・残業で胃は痛み
夜の巷をふらつくぼくは
心を閉じて頭を空にし
もう死にまっせ



自由詩 擬死 Copyright イナエ 2014-02-20 21:48:21
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