朝食まで
末下りょう

朝靄のなか
Mr.レンビンは、ありきたりに憐れんでいた


空を、そよ風をあわれみ
音を、つばさをあわれみ
湖を、呼吸をあわれみ
棘を、音符をあわれみ 、
鏡を、必然をあわれみ

光と影、血管をあわれみ
種子を、炎をあわれみ
少女を、感覚をあわれみ
稲妻を、花束をあわれみ
天秤を、約束をあわれみ
思考を、膝かけをあわれみ

愛を、フォークをあわれみ
肌を、距離をあわれみ

傘を、可能性をあわれみ
石鹸を、秘密をあわれみ
自我を、靴下をあわれみ

角砂糖を、少年をあわれみ
設計図を、愛撫をあわれみ

価値を、窓際をあわれみ 、
意味を、ウィンカーをあわれみ
犬歯を、紙切れをあわれみ
水溜りを、星座をあわれみ
夜明けを、把握をあわれみ


Mr.レンビンは朝食の準備が整うころ
家のなかに戻る




ジコ.レンビン氏に捧ぐ__


自由詩 朝食まで Copyright 末下りょう 2014-02-18 02:23:58
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