The-so-mato-LAND
赤青黄

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「こっちへ来ちゃダメだ!」



昨日もおとついも明明後日も一時間前もお昼だって海月は海を漂い、僕らはペンヲ握ってカリカリを音をたてたて、赤ん坊はヨチヨチ、風がバブーバブーとなくたびに町中に沈んでいく救急車のサイレン、すれ違う霊柩車はサイレント、主人公は負けない、死なない、倒れない、カリカリと書いた物語の中に人間はどこにもいないよ、赤ちゃんは死なない。海月二度と干からびなかった。僕はベッドに横たわる。目の前な白い天井に吊るされた長い紐がさっきからプラプラ揺れて、なんだか怖くなった。
夜中に目が覚めると、決まって僕は冷蔵庫から取り出した安いコーヒーをお気に入りのカップにダブダブ注いでレンジに掛ける。チーンチーンピロピロリンとかまるでまるで、、何の音だっけ?蓋を開けてもなにも匂わねぇ、味がしねぇ、急にトイレにいきたくなったわ。紙がねぇ、水がねぇ、これコーヒーじゃねぇ、家じゃねえ、さっきからずっとトイレットペーパーの芯が空回りしてんだ、捨ててくれ早く捨ててくれって、いやおれできねぇよ、飲むので精一杯だよ、あんなのめんどうまでみきれねぇよ、俺だってなぁ、なぁ、色々忙しいんだよ
私の祖父が死にかけた時に三途の川を見たそうです、そしたら向こう岸から「こっちきちゃあかーん」って親戚のおじさんが言ったそうで、すごすごこっちに戻ってきたそうだ、でも三日後には向こうにいっちゃったってみんなないてた

「どういうことだろうな」「今日の晩御飯豚カツだってさ」「兄が病気で倒れたの」「それからそれから?」「ジョリジョリと削る」「おなかすいたなあ」「なんかおもしろいことある?」「だれかが噂した」
「声。声。」「おかえり」「ただいま」「もうかえってこない」「とうちゃん」「かあちゃん」「僕らの豚丼」「いただきます」「も」「ごちそうさまでした」「も」
「明日の中華そばも」「蛍がとんでった」「ねぇないてもいいかしら!」

そらからふってくるこおろぎの羽音

「なにもないなんもない」
「ほしぞらがおっこちてきて」
「ちがはじけた」
「まぼろしだ」
「おどろいた」
「つちにかえって」
「きえた」

「そう、なにかあるわけでもなにかあったわけでもないって信じてないと生きて行けないんだわたしたち、走馬灯のランプがいつも清潔な灯りを灯すように、何もない毎日が繰り返し続いて行くように」


自由詩 The-so-mato-LAND Copyright 赤青黄 2014-02-14 23:34:36
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