狼さん
暗闇れもん

赤頭巾、ほんとうはね

狼さんに食べられたかったの



ある満月の夜、

窓から見えた狼さんはとても綺麗だった

毛並みが月光を浴びて金色に輝いていたの



お婆ちゃんや狩人さんやママは頭が古いから分からないのよ



狼さん、ほんとはね

寂しがりやで優しいのよ



赤頭巾ちゃんは狼さんに

ある言葉を言いました


でも


狼さんは何も言わず、ただ悲しそうに微笑んだだけでした


そして


あの事件が起こったのです



狼さんは見たことがないような怖い顔で

お婆ちゃんを飲み込み

次は私の番が来たの


狼さん、ほんとに

本能のままに…




いいえ、違うのよ
狼さんは泣いていたの
私を見て



幸せになってと泣いていたのよ



実は狩人を呼んだのは狼さんでした

声色を使って知らせていたのです

狼さん、
いつか本能のままに赤頭巾を殺すことを恐れていたの


好きよ


赤頭巾ちゃんがこの言葉を呟いたその時から

狼さん、
この運命に決めていたのよ









自由詩 狼さん Copyright 暗闇れもん 2003-11-03 00:10:30
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街の魔女より