シシー
末下りょう


町のすみからすみをみわたす丘で
星をみてた

つぎはいつであえるの
ぼくはおおげさにきいて
きみはいつもみたいに
きこえないふりするんだ

ぼくにみらいはもうなくて
きみにはみらいしかなくて
それでもふたりはいて
はりさけそうなほどにいて
とうめいな果実と
せんめいな果実と
ぼくはりょうほうほしくて
でもとどかなくて
きみはせんめいなほうを
きれいにせのびして
きゅるきゅる
もぎとり
白くておさないおなかでふいて
めをうすめて
かじった

あまいようなすっぱいようなにおいさせて

きまりごとみたいに
ねむりについた
ぼくはキスとかしたいけど
おうじさまじゃないから
おどりつくすんだ
めざめるまで
きみが

めざめるまで
めがまわっても
おどりつくすんだ

なぜとかだからじゃなくて
あさのニワトリみたいに
いるんだそこに

わすれたいことはわすれられなくて
おもいだしたいことはおもいだせなくて

あらゆるおわりのあと
わずかなせんめいのなか
草原にそそぐ
にがつの
ひざしを
そうぞうする

うまれたままのすがたは
とてもぎこちなくて
おどりつかれたぼくは
いつからか
あめのなかで
ただつながっていた
ただたんに
なみだもながさずに
つながっていた


自由詩 シシー Copyright 末下りょう 2014-02-13 06:39:49
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