サトゥルヌス
春日線香
庭から上がってきたのはサトゥルヌスである
雪の日に来るとは思っていなかったから
ろくに用意もしておらず
急いで台所からあんぱんを出してくる
ぎらついた目が あんぱんか と言っている
毛むくじゃらの手でためつすがめつしていたものの
何もないよりはましだと納得したのか
大口を開けてがぶりとかぶりつく
口の中に何列にもなった歯が覗く
あの歯で噛まれたら痛いだろうな
外ではしんしんと雪が降っている
今夜は魔物と二人きりで過ごすのだ
自由詩
サトゥルヌス
Copyright
春日線香
2014-02-08 18:36:03
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