妖怪
梓ゆい

遠くにある、かすかな記憶を掘り起こし

これが何か?何なのか?が見えず

苦しむ日々を受け入れた・・・・。

その一方で

毎日が透明になり

都庁の上から、空へと消える夢を見る・・・・。

夕飯の匂いに誘われて

立ち止まってみる門前は

決して超えることの出来ないバリケード。

そこにいる自分自身は、何者なのか?が解らぬまま

10m先も見えない住宅街の中を

懐中電灯の灯りで歩き出す。。。

(コーン・コーン・コーン・・・・。)

塀の向こうには、モノノケがいて

一人きりの私を

異次元へと連れ去るのだろうか?

一人しかいないという現実で

怖い・悲しい・寂しい・の三文字に

潰されてゆく・・・・。

「本音を、話したことは無い・・・・。」

「寂しいと、漏らしたことは無い・・・・。」

ただ

感覚という物だけが流れ出し

切り取られた心臓が

道端に落ちている・・・・。

(コーン・コーン・コーン・・・・。)

こびりついた黒染みが

誰もいない四つ角に残された。。




自由詩 妖怪 Copyright 梓ゆい 2014-02-01 11:06:31
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