まつたけフォーク
藤鈴呼




肉汁が 溢れ出す
染み出した 幾つもの ワイン色の液体を 眺めながら

これが 硝子に注がれたモノで
目の前に チーズの燻製なんかが有って…

いや ちょっと待て

妄想を 繰り返す直前で
目の前が 涙で崩れる

朝もや 離れぬ 庭園の 雰囲気なんかとは 
全く違う

幻想的でも無ければ
ワクワクだって しない

しなるのは 
隣の山の 竹藪

もしも 松の木が
例えば 赤い方が
沢山 自生して いたりなんかして

ここが 南向きの 斜面で
周りに 余計な雑草が 無かったならば

きっと 見つけられるのに

どんなに 肉汁 溢れても
縛られたなら 意味 無いよ

苦しいんだ

炙られて
これ以上は ごめんだと
うめき声が 聴こえる直前

カチャリ カチャリ と
フォークの音

この音は
次の夜を
どの角度まで 誘って くれるのだろう

楽しませて くれるの?
それとも


自由詩 まつたけフォーク Copyright 藤鈴呼 2014-01-31 15:09:41
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