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葉leaf

証人を立てるんだ 例えば僕が今朝目玉焼きを食べたことについて しっかり覚えているし難しいことでもないんだけど でも証人を立てるんだ そのことが却って事実を不確かなものにするから 証人が必要なほど不確かに そのようにして自明なことを全て隠していけ 証人は証すことで僕らの秘密を守る

誰からも見放され 誰も頼ることができず 人を傷つけ人から傷つけられ 激しい苦悶を通過する中で その苦悶をろ過したかのように 一滴一滴詩は誕生した 詩はいったい何を浄化するというのか その生い立ちからして悪魔の申し子ではないのか 詩は原始時代の叫び声 遠く聖なるものへと汚れていく歌

僕らの人生の始まりには償いようのない間違いがあった 間違いは傷であったか罪であったか だがそんな間違いを丁寧に生き続けていると すべては間違いでも正解でもなかったことを 生きることそれ自体が証明してくれる 間違いは廃墟のようなもの 廃墟に生い茂る草木の目覚ましい生命が僕の命だ

淋しいのや苦しいのはあなただけではありません そんな言葉を快く受け止めては 僕は遠くの山々に視線を向けていた かつて自明でなかった真実 多くの他人の人生に分け入って初めてわかる真実 僕はひたすら視線を遠く幅広く 誰もかれにも何もかもにも 自分の人生の孤独な美味をくれてやるのだ


自由詩 twitter Copyright 葉leaf 2014-01-30 03:22:40
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