むじな
春日線香

それについては因縁がある
なにせ前世の仇だから

うららかな冬の日
わたしはそいつを探して山にきた
皮をなめして枕にしてやろうと思ったのだ
鉄砲をかかえ 神社の脇を通った時
昼寝しているそいつを見つけた
こんなに簡単にいくものなのかと
うまうまと鉄砲を突きつけ ずどん!と一発
するとどうしたことだろう
昼寝していたのは自分で 撃ったのはそいつ
撃たれたわたしは胸に大穴をあけられ
ぷつりと命を閉じた
それからはよくわからない

ひらひらとどこかを飛んでいた気もするが
最後はなめされて枕になったのだろう

本家の離れで寝た夜 枕がそんな話をした
むじなの毛皮で作られたという枕は変なにおいがして
とても寝苦しかった

本家の人に断って
ドラム缶で燃やした


自由詩 むじな Copyright 春日線香 2014-01-27 13:17:06
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