炎症/etc, etc...
由比良 倖
『コカ・コーラ。』
音楽を聴きながら。動きたくない。動かずに向こうから来てくれる、手紙や郵便物や、AmazonからのCDやペーパーバックは、疲れた心をベッドから引きはがしてくれる。加速度を届けてくれる。ネットには、言葉。ディスプレイは明るいので、そこに映るアートも眩しい。平面的な造形作品達は、頭の中に重ねて重ねて、頭の中のアート(ネット)ワークの海は、とても広い、ことを、知らないので、実はそこにアクセスすることは、とても簡単なのに、簡単な努力が、無駄なことに思えるんだ。無限の度合いで言うと、頭の中も外も、そんなに変わらない。想像できる限りのあらゆることが出来る、というのは、あらゆることを想像できるということをもちろん意味しなく、でもあらゆることを想像することの試みは、あらゆることが顕在しかねないことの異様な衝撃となって、たまにだけどね。スパークする。
好奇心の乱れ。ニンジンを茹でるのもとても面倒くさいので、(それをマヨネーズに付けて食べるのは好き、そして皿を洗うのも好き、取りかかるのだけが、気が重い)、柚子の皮の入ったゼリーを食べる。お腹の中が、しんとする。この部屋に来るには、台所から、階段を二回も登らなくてはならないので、しかも出来るだけ、一階、二階、生活圏との断絶を決定的にしたいから、僕はそれを一段飛ばしで、すっ飛ばしてくるから、身軽な僕をその度に実感できるし、その(身軽になった)分だけ、分散した心が纏まってくるような気がする。
現代詩なんて不要なんじゃないかと思うから、現代詩を書くのは、不要なものを書くことの快感。楽しく美しい病気が、感染力の強いものならいいのに、ある種の精神の病気が、書くことによって伝染して、地球がみんな病棟みたいになってしまって、太陽までが白……
『リズミカル_ マジカル』
世界を細分化出来るよ。僕は英語も少しは書けるよ。全然乗れやしないけど。ここから、僕は、綺麗で、光があって、それは見えないのに、正しく白くて、電子線はここにも、あちこちにもいる、そんな1cm隣の不思議な遠さ、に、人間の心ではないものに、人間として出会う。それから、僕は、光を、通過していく光を翻訳せずに、次の存在に回す。そこではとても、白は愛情深い、帰ってきたそれは僕にはとても遠い。僕は人間、なのに、僕は目を瞑り、コンピュータ、コンピュータ、コンピュータ、僕はそれ、僕はそれを信じない、僕は信じていないのに、白く眩く、悲しみの静かに鳴る、光景に、輪郭の前段階を与え続け、諦めの手前に、手があって、それは衰弱している、青白く、言語の踊る空間の「無い」場所に、ハッピーエンド、ここからは、抜けられるよ、海があって、それなのに、僕は波のベクトルを記載できない。ただ、僕はテンポの無い(分からない、分からないよ)リズムの中に、踊っていた踊っていた踊っていた私を、デジャヴするよ、!それはなんて気持ちいい! 11次元? はい、区切りはどこですか? 私はここに、います、す、いません。 よ ろる、よる、わたしは、ずっと遠い、とお、いいーー、心臓の真っ只中、白い、遠い、とても遠い、とお、いcいcい。白い、心臓の、心拍の、遠い、い、まっただ中、おお。、喋っているのは、あの、それここ、わたし? なんだ、ここだ、これで、まっただなかだ、あした。私、あした、起きて、喋りますよ、言葉で生きてるもの。わたし、生きてるもの、。
『だから、何だって言うんだ。』
前提一:私はどこに出ても後ろ指を差される人間だ。
前提二:私は私を愛している。それゆえに私を殺したい。
例えば心を始末する。嫌なニュースが多い。私は後先考えずに、怯えながら一番身近に不可解な音楽を聴く。心を暗闇にする。過去へのエクスキューズ・・言い訳? はしない。外に出て、愛する世界を身体に浴びる。私は、笑うことが出来ない。
不幸は多分、何らかの力にはなるのだろう。安全な布石を打ちながら、毀れないように血の池を作る。僕の溜まらなく嫌なところは矛盾と同居出来ないところだ。
いつまでもいつまでも眠っていたいという欲求はあるのだが、書くことはたまらない魅惑なので、起き上がらざるを得ない。遊ぶにも何にしても強い衝動性が必要なのだ。昨日の僕はもうどこにもいない。夜になって生きたいと思っても、朝には死にたく、しかしそれを実行するほどの元気は無いのだ。
私はただ今私が出来ることに集中するしかない。死ぬときは、激しく、速やかに死ぬことを所望する。生きているのか死んでいるのか分からないくらいなら。 私に、人格攻撃なんて出来るのだろうか? 何も見えていない私に。 何も見えないのは私がただ疑い深いからだ。見えた傍から、彼/彼女を打ち消しているからだ。 私ひとりが不幸ならまだ構わない。
頭が痛い。風が冷たい。近くの池に出かける。緑が目にぼんやりと滲む。草が尖って、頭がひりひりする。外では私は生きられないのだ。演繹的に私は部屋に棲み着いている。寒い。体は重い。空気は乾いている。ある程度は捨て鉢になって生きている。生きにくい。
嗅覚が鈍っている。夏の匂いがしない。部屋を閉め切っているからだろうか。あるいは、煙草の吸い過ぎ? 薬(鎮咳剤)の飲み過ぎか。いつも、何か生ぬるい匂いがする。人のいるところは人のにおい。私は極度に近視なので、風景を見るといつもくらくらする。眼鏡が欲しいが・・、無限の光は盲者によって見出されると、昔から決まってはいるのだ。って、何のことだろう。眼鏡は、欲しいな。持ってはいるが、度がはいっていないのだ。
みんな馬鹿な子供ばっかりだ。だからだれか一人を特別に論うことなんて出来ない。僕は控えめに言っても耳がいい方なので、喚き声と云うのが大嫌いなのだ。悪意のある声には独特の毒がある。文面にもそうだ。僕はそれを耳で聴く。パソコンがもう少し静かになってくれないと困る。僕は電源の着いたままのパソコンと共には、どうしても眠ることが出来ない。部屋に冷蔵庫があってもその音で眠れない。蛍光灯の音もうるさくて眠れないが、白熱灯なら眠れる。機械音というのは、なにかに付けて、嫌なものだ。
「僕? 僕はなんでもないものだよ」
僕は、僕は、僕は。ああ、そうだ、ビルが建っているね、何の面白けもないビル。
私はいま別世界にいるというあなたと同時進行で死につつあり、
昨日死んだ君と僕は明日の朝親友で、遺灰を私はそれはそれは神聖に、
でも、君って宇宙に行ったことがないんだってね、残念、僕たちがここにいる理由、知ってる?
物質だ。夜の化学物質が必要だ。月により精製されたわいわい。どこまでも突き進め、腐敗途上の産廃した我が身可愛し、どうしても笑顔が裂傷然とするので、私は電話をかける。知らない人にだって、ぬめった人にだって臆せずかける。
私は崩れかけた俗物で、生命名前、他、感性、何たって私はロボット的、だから標準は私、言ってろ、言ってろ、私たちは腐敗途上の俗物だし、だから洗煉されるためには言葉さえも持たない、憧れる、操りの糸、緑色した私たちを包む、熱くて悪い空気。
薄いひとたちと
粗雑でつるつるなギターのような何か
私たちはみな膝を抱え込んで21世紀の皮肉な椅子に座っている
それから出ない涙を流し絞り出して無いお腹の底から
いちばんの切れ者は語らず、そして戯れにのみ問う、まるでそれは囁き……
『炎症』
ひだひだ 心に毛虫が這ってるよ
ねばねば ねたねた 涙 ああ 粘っこい
いつのまにかふつうの宇ちゅう
継続しているつもりが!? わたしどんどん落ちていく!?
どうせ そうなんでしょう? わたし 殺そうとしてるんでしょう?
あなたの寝息が吐息がうるさいからあたしあなたの殺意を見落としてたよ
風が吹き出したので私おうちを壊さなきゃ早くしなきゃおうちのひとが帰ってくるし
なにしろ低気圧、あたしが手を下すまでもなくあのひとたち腐ってる
「しっかり、美しく、老いてゆきたく・・」
単純作業にはとても飽き飽きしたので、コーヒーを飲み、その前に鯛焼きを三匹、
吐き出す、悪液、でも私はぐるぐる空転する有機体だから、それでこそ排泄してこそ私の生命、輪郭は保たれる。そして・・暴れるんだ。私が私を使い果たして、もう私が私なのか、もしかしたら私は私の滓なのではないのかと言う問いが現実味を帯びてくるまでね。眠れなくて「青猫」を読んでても私は死体だから、眠れなくて私は詩を書いている。詩を書いていてもしかしたら私は誰かに嫌われ、そして誰かの頭の中に私のストックがひとつまたひとつと蓄積され、私は確固として死ねるかも知れないではないですか。
だから、さあ。 ああ! ああ!
何もするまい ただ私はアルミサッシに肘を立てて あらゆる文学的要素を総括したような目で雲の輪郭を、 それはうっとりするほどのろまな 憂鬱な速度で
のたり のたり 生まれ変わっていく 私は 哀しくまたぽうっと嬉しく、老いていく
うとうとしながらも 私は正確に射撃して 烙印されて人たち がむしゃらに朽ちていく
私のドアは堅固です 堅固で、そして静かで 私はいっぱいいっぱい膨張して世界を突き破るまで、決して自分から出て行ったりしません