沈殿
和田カマリ

小春日和と言う日和に
薄青い水溶液をたたえた
フラスコの底で佇む
そんな僕がいました

誰かが揺すれば
僕も揺れる
ボクもボクもと
コロコロと音を立てて

見あげれば空の海面から
光が射してくるよ
だけどいつもどこでも
乾いた水を含んだ和紙が
光の良い所をダメにする

そいつは一枚
また一枚
僕の顔にも降って来るから
だんだん息が出来なくなる

この世界は少し苦しい

せめてもう一度
立ち位置が熱くなれば
対流で登れるのに

ありもしない事
出来もしない事
ぼんやり考えて
フラスコの底で
石化して行く僕


自由詩 沈殿 Copyright 和田カマリ 2014-01-25 17:12:43
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