影うた
千波 一也


幾重にも
連なってゆく
痛みの無言に慣れてしまう
その痛み

それは
誰にも明かせないから
誰もがみんな
重たく齢を
重ねる


褒美のような光の背には
忘れられ過ぎた美しい輪郭が
揺らめいている

幾重にも
歓びあって
揺らめいている


丁重に
差し障りのない物語を
憐れみながら

己もやがては
そこに身を置く


幾重にも
降り積もってゆく
白い穢れに清められてしまう
その漆黒

それは
誰にも見つからないから
誰もが小さな重みを
護る







自由詩 影うた Copyright 千波 一也 2014-01-24 16:39:14
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