診察
nonya
肘が腫れた
誰かに肘鉄砲を
食らわしたわけでもないのだが
発熱したのでさすがに怖くなって
病院へ行った
かなり炎症してますね
頬杖をつくのが癖なので
おそらく妄想を巡らせている間に
肘からメタファのような黴菌が
浸入したのだろう
念のためにレントゲンを撮りましょう
そんなもので私のポエジーが
見透かせるわけがない
どうして夢見がちな詩人もどきに
ありがちな症状だと
はっきり言わないのだろう
とりあえず抗生物質を出しておきますが
医師は慈悲深い微笑みで一瞬間を取った後
場合によっては切開するかもしれません
そうだ
最初からそう言えばいいのだ
この病は切るか燃やさなければ完治しない
誰も本当のことは
はっきり言ってはくれない
優しげな笑顔で通り過ぎるか
優しげな言葉で出口を教えてくれるだけだ
調剤薬局で薬をもらいながら
腫れたのが左肘で助かったと思った自分が
幾分哀しかった