指が動く
ヨルノテガム





 虹の空を歩いて跳ねた
 
 遠くでは
 雨粒が水たまりに幾度となく指紋をつけている
 
 灰色の朝、続くまどろみ、
 曇天の間を隠れ現れ 隠れ現れして
 
 時は止まり流れた
 
 
 *
 
 
 季節が移りゆくように
 
 3秒ごと違った顔と肢体を
 見せなさいね
 
 天変地異であっても踊り出せるように
 
 手の中にひとつの風を飼って
 おきなさいね
 
 
 *
 
 少し 少しの 少ない
 多い 多い すごく多い
 膨れてる 膨れ上がる 膨らむ 膨らむ
 すべる 滑り転ぶ 滑り続ける 続けることは大事
 
 揺さぶる 揺らす 揺れる いやに揺れる
 止まる ずっと止まる 石は動いている
 つまり つまると つまりは溢れ
 冬の 折り紙を 冬の山あり谷あり
 折り目をひらくと 風や泡沫の 吹雪も
 折り紙の折り目で しばらく暮らす冬
 春や夏に挟まれ 片目で眠る
 
 動く 動くね 指が動く
 叩く 打つ タイミングよく 動き出す
 
 *
 
 
 まるで何かのように動き働く
 
 
 意思の集合体が、(これはイラ立ちだろうか、
          憎悪だろうか、原始的な
          怒りなのか)
 
 形を変え、(これは融合だろうか、
       あきらめだろうか、
       慈しみだろうか)

 罠のついた真実の姿をおのおのに芽吹かせてゆく
 
 
 そう
 
 無くなってしまったものが
 かつて奏でた、わたしたちも そうであるように
 
 無くなってしまったものが
 かつて奏でた、わたしたちも そうであるように
 
 
 変化・異化する未来に
 指先は出会っている









自由詩 指が動く Copyright ヨルノテガム 2014-01-22 03:11:08
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