狂気の値段
左屋百色

車なんて要らないけど/明と暗の分かれ目/
とっくの昔に終わって/撤去済みの催し物を
自分だけで/続けている/そんな世界観/外観
/外環道/車なんて要らないけど/致命的な何
かを無意識に体に透過させている気がして
いて/車なんて要らないけど/自分にとって/
将来的に大事な/PとIとEとCとEになりそう
な物は探していて/やたら/水族館の近くに
住みたくて/でも住めなくて/公園のすべり
台に100年隠れていたら鬼が死んでいた/
私の水槽には魚がいなくて言葉だけが浮い
ている/手に取って乾かして紙の上に並べた
ら/言葉たちはボールペンに轢き殺された/
飛び込んで/私は100年泳いでいたら孤独に
なったけれど/生きてやる/生きて/やる/車
なんて要らないけど/歩いて行ける距離だけ
が世界なら/どうしても/水族館の近くに住
みたくて/はだかで解剖されたい/夕焼けみ
たいな舌の上で/そんな世界観/外観/外環
道/標識は暗記した/迷うな/生きて/やる/
神様に見捨てられて/よかった/最初から/
そんなの頼りになんてしていない/生きて
やる/水槽からあふれる/狂気/あふれてやる
/水平線を手に入れて虹と星座を暗記した/
車なんて要らない/時間/水槽の中の時間/
入場無料/買えない/底まで照らす/ひかり
/水槽は売っていない/誰もいない公園で/
撤去済みの催し物を自分だけで続けている
/すべり台の上から見える/みらい/水槽に
反射する/君の詩はすべて暗記した


自由詩 狂気の値段 Copyright 左屋百色 2014-01-20 14:40:19
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