煙草を1本下さい
中山 マキ















陥没した心の中でくだを巻く
ある程度成長をすると
人は途端に行き詰るのか
岐路という岐路を乗り越えて
果てていくならば
出来る限り穏やかでいたいのに
波風を立てているのは主に自分で
何の落ち度もない他人ばかりを
恨んでは立ち直る

わたしはいつからこんなに
愚かで下劣な人間になったのだろう
反省の弁ばかりが達者になって
目を伏せて頭を下げていても
何処かで赤い舌を出し
自分が可愛くて仕方がないのかもしれない

灰で埋め尽くしてしまいたいほど
眩しい世の中は
眺めれば眺めるほど残酷で
生まれ変わることも
そう簡単ではないことを思い知らされる
だからそこのお嬢さん
煙草を1本下さいな
紫煙をくゆらせて
斜めに見た世間に
嗚呼、笑われるのもそう悪くはない








自由詩 煙草を1本下さい Copyright 中山 マキ 2014-01-16 17:52:17
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