午後2時の太陽
葉月桜子
ぽつん ぽつんと空から降りてきた 冷えたつぶは
壊れそうな私の身体に ぺたっと張り付く
いつかスキー場で見たサラサラした雪ではなく
もっと水分を含んだべったりしたその物体は
私の冷えきった身体に張り付き
更に追い打ちをかけて 体温を奪う
あの時見た 光はもう見ることはなく
あの時見た 真っ青な海も もう見ることはなく
私たちを照らした 午後2時のあの島の太陽は
どこかへ行ってしまったのだろう
支えてあげたかった
一緒にいることで笑顔になれるのなら
一緒にただいれば良いと思っていた
だけど本当は
頼りたかった
話を聞いてほしかった
心配してほしかった
逃げたかった
幼い子供が つい欲張って
どんぐりを たくさんたくさん拾いすぎたから
お母さんの用意した ビニール袋では
入りきらなくて
帰り道に こぼれ溢れて 気づけばあたり一面に
広がって 泣きわめいてた
どうしようもないこと
だってこの先どうなるかなんて
子供だって大人だって分からないから
目の前の 幸せ
今日もそっと胸に閉じこめる