対話
末下りょう
結局思考してんのは脳味噌でさ、シナプスだかなんだかの伝達で立ちあがる出来事だけがリアルだろ__
でもお前、シナプスが喋る、シナプスがうんこするとか言わねーじゃん。せめて俺の脳味噌がうんこするぜって言わなきゃ嘘だろ。今この瞬間もお前の意識や内臓や肛門がお前の理論に逆らって脳味噌をボコボコにしてんだよ。
なんだそれ、アホか。それよりお前、詩とか書いてんだろ。実際どうなのポエムとか書いちゃうのって?
まー世の連中が詩について話しちゃうことの大半はたわごとだからなーいい意味で。今んとこよくわかんないね。まー書いてますって感じ。
生ビールと枝豆と友人とバカ丸出しの会話
イタリア製の黄色いスポーツカーをボウンボウン乗り回すビールっ腹のお前
ぼくはきみが好きだ
三国志を語らせたら延々と語り続けるきみ
野心家で 神経質で さみしがりやで
嘘つきで すぐ腕相撲したがるきみ
あの春
放課後の渡り廊下から校庭の女子のブルマを眺めていたぼくに、仲間を引き連れた通りすがりのきみは語りかけた
お前、好きなバンドなに__
腐れ縁の始まりだったよ
必要最小限の悪との生活にゆだねた日々、移りゆく季節のなかでぼくらは傷つけあい、そこから自分たちの痛みさえもえぐり出したな
木漏れ日のすきまから太陽をせせら笑っては消えたろ
こうやって久しぶりに挨拶を交わして肩を叩き合うと、魔法にかかったまま相手の名前すら知らず苦くて嫌いだったビールを煽り、さりげなく闇夜の向こう側に酸性の夢を飛ばしてるんだ
銀の皿にボノボの脳味噌が運ばれてきた
なあ、そろそろお互いの頭でも噛み切ろうか
自由詩
対話
Copyright
末下りょう
2014-01-09 15:33:27