機織り
そらの珊瑚

じゅうたんをほどいてゆく
いろとりどりの糸があらわれる
つむがれていた星々の
ものがたりがきえていった

糸をほどく
きぬの生まれでた
まゆにもどってゆく
蛾のはいた
むすびめのない一本の糸は
みずからのための棺をつくりあげたが
なきがらはどこへいったのか

何億匹の蚕が顔をあげて
葉を咀嚼する
音がする
ざーざーと
あれは雨のふる音によく似た
うたなのだ
みみをふさいでも満ちてきて
生きていくことに
あらがえない命のうたに
たどりつく
なきがらはどこへもいかない
じゅうたんを織り直せば
どこかあおくさい
匂いがして
ふたたび星がまたたきだす












自由詩 機織り Copyright そらの珊瑚 2014-01-02 20:58:45
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