365+1
左屋百色

コートの袖に去年がついていたの
で振りほどき
目の前を続けるの
です
名前のない雨が一粒一粒
ざあざあと集団自殺すれば
水槽から濁った冬があふれだす
私は言葉を投げつけたの
に水面には波紋ひとつできないの
です
君の一秒が
私の一秒とは限らないから
道路に放たれた言葉たちが
勝手に未来になるの
です
百年前に少女だった私
は制服を売り参考書を売り
画用紙を二百枚買いました
自画像はすべて苦笑いしていたの
で鉛のように黙り
自分の名前を半分切り落とし
コートを脱いで詩を書いたの
です


自由詩 365+1 Copyright 左屋百色 2013-12-26 14:17:08
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