冬の朝のぼんやり
いねむり猫
遠く 朝の空に カラスが 鳴いた
空に向かって投げられた 一筋の石のように
深く青い空の中 大きな羽影が音も無く遠ざかる
夜に満ちた寒気が 弱い光にわずかにゆるみ
首を縮めたくなる風が 新しい北の匂いを運んでくる
カラスから隠れていた小鳥たちが 恐る恐る庭に戻ってくる
小鳥たちの濡れた木の実のような眼差しは 花壇に向けられている
鮮やかに開いたビオラの花びらを 空腹の足しにしようと
つまみはじめるつもりだ
花が散らされるのは いやだ
小鳥を追うのも いやだ
ほって置こう
まれに 早朝の柔らかなバラの葉に夢中になって
地中に戻ることを忘れた青虫に
出会えることもあるらしい
小鳥たちに幸運を
鳥たちが空に跳ねて 警戒の声を上げる
わが家の猫の友達が 忍び足で訪ねてきた
窓越しにじっと見つめ合うだけの付き合いだが、お互いに気に入っているらしい
邪魔をしないように 私も身動きをしない
鼻水をすすりながら まぶしい光に目を閉じる
冬の朝のぼんやりした時間を 窓辺で猫と過ごしている