水星

みんなより泣き虫な私ですが
もしものときは貴方の熱い涙も、全部
私のそれに溶かして差し上げます。
その代わりといっては何ですが
私からいつもより
少しばかり濃い塩の匂いがしても
しかめっ面はよしてくださいね。
私自身は貴方の青と揃いのようで
ひっそりと、喜ばしいのですから。

 
金星

貴方の子どもたちはよく
愛より金。だとか、
愛があればお金なんて。とか、
よく話すそうですが、私からすれば
金も大事。愛も大事。
そうは思いませんか？
欲張りだなんて言わないでくださいね。
その二つを持っている私は
その二つ以上に
貴方が欲しくて堪らないのですから。

 
火星

どれだけ私が貴方に焦がれているか
きっと貴方は気づいてないのでしょう。
私が燃え尽きてしまえば
嫌がおうにも気づくでしょうが。
そんな犠牲的な考えは好きではないので
仕方ありませんから、地道に
貴方に火をつける努力を致しましょう。
私の情熱はしぶといのです。
覚悟してくださいね。

 
木星

私はとても臆病なので
貴方に気持ちを伝えるどころか
仲良くなることにすら怯えております。
申し訳ありません。
でも、それでも
この脈打つ鼓動は正直者でして
とりあえず、とりあえずですが
貴方に嫌われぬようにだけ
貴方に少しでも好かれるように
歩み寄ろうと思います。
そこでお聞きしたいのですが
花を贈っても宜しいでしょうか？

 
土星

貴方は強そうに見えて繊細だから
私がしっかり支えましょう。
無理したり急に逆上してはいけませんよ。
子どもたちが脅えてしまいますよ？
貴方は美しい上に優しい母なのだから。
勿体ないことをしてはいけません。
でも、子どもたちの我が儘に疲れ
その美しさも衰えてしまいそうになったら
私は全力で貴方を助けましょう。
固く約束しますから。信じて。
私を頼ってくださいね。美しいひと。

 
天王星

私の何が気に入らないのでしょう。
貴方を包み込む包容力も力も
充分に備わっているのに。
だが、惚れた方が負け。
力づくはもっと気に入らない。
さっさと私に惚れなさい。
私のものになりなさい。
貴方のその目が私だけを映したとき
そのとき初めて
抱きしめてあげましょう。

 
海王星

貴方に見合うほどのものを
私はいくらでも持っています
飽きるほどの富と力。
でも貴方だけがなかなか手に入らない。
ここだけの話、その所為で
私の身体はいつも塩臭いのです。
貴方の手で、この海を拭ってください。
私が私に溺れてしまう、その前に。