朝起きると嘘が生まれていた


青空が全てを飲み込んで
見渡す限り空っぽになったような そんな日々が続いて
生まれた街を離れられずに
過ぎ去った人達の事ばかり考えている
未だそばにいる誰かの声を
自らの歌声でかき消しながら


歌はいい
どこまでも優しい
悲しい歌も 辛い歌も 憎しみの歌も
全てが同じように優しい
ずっと響かせていたい
例えそれが嘘しかないファンタジーであっても
ずっとずっと響かせていたい


「そんなに嘘ばかり重ねていたら
君の存在そのものが大きな嘘になってしまう」
何の本に書かれていた言葉だったか
今はもう覚えていない
その言葉は今も
擦り切れたレコードが奏でる歌のように
繰り返し繰り返し鳴り響いている
けれどそれは嘘だ
いつまで経っても嘘になれずに
青空のことばかり考えている
それが今の自分だ
それこそが本当の自分だ
 

朝起きると母が壊れていた
あの朝から何年が経っただろう
母が動かなくなったその後も
ずっと修理の仕方を探し続けているのだ
思い出したくない記憶を
壊さないようにそっとそっと抱えて
自分への言い訳をなくさないように
そっとそっと握りしめて
どこへ向かうというのだろう
どんな朝を歌うというのだろう


見渡す限り空っぽになったような そんな嘘が続いて
生まれた街を離れられずに
過ぎ去った人達の事ばかり考えている
全てを飲み込んだ青空が
笑ってしまうような表情で
こちらをじっと見つめている






自由詩 朝起きると嘘が生まれていた Copyright  2013-12-16 22:36:36
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