気付かなかった事
yamadahifumi
生きる事と死ぬ事の間に広がる世界
そんな世界で僕は今日も
言葉という肉体を抱いて生きている
現実においての僕は死ーーーそして、あの世の僕もやはり死ーーー
生という名の死と死という名の死と、
二つの死の間に挟まれて身動き取れず
ふだんの僕はいつも窒息死している
想像する事は常に体験より素晴らしいーーー
それはもちろんだ 結局、人間に備わった唯一の器官は
夢見る事しかないのだから
僕は君たちが造り上げたこの現実という
最低の出来の夢に手を振って別れを告げる
・・・フッ、シェイクスピアだってもう少し上手く夢を見たさ
あれから何百年も経って、僕達の見る夢はいまだに拙劣だ
映画館に行きたまえテレビをつけたまえネットの放送を見たまえ
そこにどんな拙劣な夢があるのか
そして、君のーーーいや、僕達の人生こそは
この世での最も愚鈍な夢だ
生きる事を礼賛するのをやめる時
僕達は静かに棺に横たわって夢を見る死者の群れのように
その時、始めて流星の美しさが分かる事になる
もうとうに世界は終わっていたのだ 問題はただ
僕達がそれに気付かなかっただけなのだ、という事を