「生きとし生けるもの」
夜月 こころ



闇の世界が広がる海
一進に進む人々
彼らが向かう先それは光
いつか聞いた海の彼方に
宿る命があると

かつてこの世界には数多の神々がいて
命ある星に光を灯したという
太陽に照らされた青々とした大地、美しい花々
そして生物が生まれ、人という命が生まれた
人々は東西南北に分かれ、国を作っていった
やがて自由を求め争い始めた 
争いは何年も続いていった
森は破壊され、たくさんの生き物が死んでいき
大地は枯れていった

神々は星を守るため世界を闇に包んだ
光を失った人々は争いを止めた
静寂に包まれた漆黒の世界
やがて人々はいつかまた光のもとで生きたいと考え始めた

東西南北の国々は共に手を取り合い
光を探し求めた
北の国は森を 西の国は大地を
東の国は海を 南の国は空を

彼らの旅は長く続いた
それでも彼らは諦めず探し続けた
百年の月日が流れたとき彼らは悟った

森も、大地も、海も、空も
小さな芽も、生き物、
この星すべては
生きとし生けるもの
形は違えど命あるものだと
そして自由とは支えあうこと
人々は自ら支えあい、
星に生きる命を大切にした

そして海の彼方、
一筋の光が差し込む 
百年の月日を経た星に美しい朝が来た


自由詩 「生きとし生けるもの」 Copyright 夜月 こころ 2013-12-15 12:27:32
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