冬ごもり
八布

掃除を終えた綺麗な部屋に
いっぱいの日差しが入ってくる
本棚の背表紙もそろえたし
机にだって塵ひとつない
今のこの部屋には
神さまだって住めるけれど
そうするわけにもいかないし
背もたれによりかかって伸びをする


燃え尽きたお線香の
いい匂いだけがまだ残っている
十二月は窓の外で
明日を追いかけてる
ぴかぴかの机の上で
うつらうつらと舟を漕げば
雲ひとつない冬空に
魂が吸い込まれていく
のどかな休日の一日
ふと 生まれ変わりを信じそうになる


あの人がもし帰ってきたら
子どもに戻って
ひらがなことばでおしゃべりしたい
あやとりを掬い取るような
他愛ないやりとりをしてみたい
そんなことを思いながら
もう一度眠りについた


自由詩 冬ごもり Copyright 八布 2013-12-15 11:50:35
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