秋
イナエ
秋の陽を受けて
河原に転がっている小石
何百年も かかって
水に運ばれ
磨かれ
なめらかに
平たくなって
足もとの一つ
掌にのせ
眺めていると
水切りをしたくなり
幾つも弾んで沈んだ
もう一つ拾って
眺める
さっきの石と形も色も違う
同じ岩から別れたのか
あの石は河原から消えた
一つの川の
一つしかない二つの石
もう 出会うことはないだろ
せめて
垂れた枝から葉を一枚取って
舟を作り
石をのせてながす
流れてしまった葉
枝には隙間
秋の光が素通りする
葉 一つの
隙間
自由詩
秋
Copyright
イナエ
2013-12-10 21:47:02
縦