彼女の土産
藤鈴呼
逆さまに 微笑む兎が 見えたかい
月明かりの下で 朝露を待つ夜は 程遠く
太陽の訪れを 待ち侘びる事も 忘れたみたい
海岸で咲く 緑の花びらを 見付けたかい
違うよ 其れは 蛇紋岩だ
三歩 戻って 翡翠を探しておいで
散歩がてらに 翡翠にも 会っておいで
あの 麗しい コバルトブルーの煌めきに
バサッと根を下ろす 蔦よりも 絡みつく 狂喜
乱反射するのは 真冬の信号機
凍結していないか しっかり確認をしてね
ひび割れ易い 色だから
草の萌える季節になっても
包んだまま 手離さないで いて
折角の 進言には どうかイエスと頷いて
嗚呼 だけど 彼女の土産が 減ってしまうから
やっぱり そそとして 後ずさってしまって
あのヒスイは 彼女の掌で 蹲っているのが
きっと お似合いなのだから
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