ブックエンド〜オールドフレンズ
梅昆布茶
仕事柄
保育園や老人介護施設を訪れる
人生の入り口と出口
もちろん私は後者にちかいあたりを走っているのだろう
少々息を切らしながらも
保育園児に捕まるとなんどでも同じ質問をしてくるのだ
これなあに?これなあに?
おじさんはだあれ?
私は何度でもこたえかえす
それは牛乳それはヨーグルト
おじさんは牛乳屋さん
そのうちせんせいが止めにはいる
この子達の問いはやがて
じぶんの未来への問いや
あるいは内面への問いに
変わってゆくのだろう
いつもの有料老人ホームの朝
同じ時間の玄関口
入居者らしい車椅子の老人と
そのかたわらに
決まって寄り添っている
老人の姿がある
駐車場にはいつも同じ
一台の軽自動車
ふたりはタバコをふかしながら
朝の同じ時間を静かに過ごす
ポール・サイモンが1968に綴った詩
ブックエンドというアルバムのなかの一曲
オールドフレンズ
公園のベンチの両端にすわっている二人の老人・・
その姿は、まるでブックエンドみたいに見える
でも 二人の間には 本じゃなくて
思い出やら 一緒に過ごしてきた時間やらが
ずっしりと並んでいるんだ
町のざわめきが木々の間から漏れて
ホコリのように彼らの肩の上につもる
仕事やら家族やら 人生のいろんなものを
担ってきた肩に・・
今日も私の眼に映るだろう
人生の入り口と出口
自分がたどって来た
あるいはたどるだろう道
誰かに点数をつけてもらうためではない
自分だけの人生
そんなブックエンドにはさまれた人生を
今日も生きてみようと思う