明日の勝利
yamadahifumi




感受性のない人間が

この世を支配している

だが、それは多分、当然の事なのだ

世界は義務を遂行し、すでにある価値を認める者に

多大なる権利を与える

従って、パスカルやニーチェのような懐疑主義者達はいつでも

この世の厄介者にすぎない

そして、感受性の欠けた人々は時折

塔のてっぺんでニーチェやパスカルを引用してみせる

彼らをその塔のための一つの瓦礫石とするために

これまでずっと長い間、天才と凡人は闘争してきた

そして、その勝利は常に凡人ものであり、愚か者達は常に勝者であったのだ

だが、天才達にも一つだけ特権が許されていた

それは敗北する事によって自身の軌跡を社会の中にしっかりと残す事

彼らはそうやって、負ける事により自己を発現してきたのだ

勝っている人間とは何者でもない

彼らはただ、集合体にすぎない

それは黒い鳥の群れの中の一匹を見分ける事ができないようなものだ

あるいはネット上で集団意思にまぎれて、他人を攻撃している人々のよう

我らには敗北する術がある

そして、敗北こそが明日の勝利なのだ




自由詩 明日の勝利 Copyright yamadahifumi 2013-11-28 08:58:40
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