夕凪のさきへ
朔 水

冬の吐息を吸い込んで

淋しいくらいに青い空。


枯れた草の香りと、

乾いた車のひびきと、

あてどないぼくとこの道。


どこへ行ってもいいのに

まぶしいくらい自由なのに

寒さに足が張り付いた。


かじかんだ手で押さえても

孤独にのどがつかえて

悲しみがむねにみちて

はりさけそうに苦しいんだ。


どこへ行けばいいの。

どうしたらそこへ行けるの。

そこへ行けないとしたら

ぼくはこのままなの?


ひきさきたいほどに

張りつめた冬の空。

ふとひとひらの羽が

ぼくにまいおりた。


何のなぐさみにもならない、

ただまいおりたそれに

こわれるくらい泣いた。


痛みのしずくを吸い上げて

やさしく凪いだ冬の風。

少し涙がかわいたら

きっと茜の空だろう。




自由詩 夕凪のさきへ Copyright 朔 水 2013-11-24 23:15:06
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