夢庭
雨慈ムシ

金木犀を纏って
波立たぬ心を晴らす庭

汗を紡ぐグラスに
青空を並々と注いで乾杯

野球バットは年老いて眠る
思えばこの庭は
何時から微睡んだのだろう

火照った地べたに風が這う
はっと酔いが醒めて
子供ながらに遊ぼうと裸足が疼く

白い小さなサンダルを
青臭い季節に忘れ物をした

あっぱ口を開けて
ビー玉の瞳が私を射る

金木犀を纏って
寝息を立てる庭

涙垂らした心を均す庭


自由詩 夢庭 Copyright 雨慈ムシ 2013-11-16 00:29:44
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