神様のいじわる
葉月桜子
星を見て いっぱい話して 笑い合って
それでもうまく伝えられなくて 思いを断ち切った
あれから一年たった
時は過ぎ あの時とは気持ちも状況も変わる
あの日 弱っている私に 優しくしてくれた
僕を頼ってほしいと 手を差し伸べてくれた
あなたには 他に大事な人がいたのに
神様のいじわる
なぜ二人を近づけたの?
傷ついた猫は ふらふらと彷徨う
一人でいることが辛いかのように
あてもなく
人混みに紛れ ふらふらと街を歩く
優しくされたら きっとついていくでしょう
温かく抱きしめられたら きっと信じるでしょう
幼い頃 傷ついた猫にミルクをあげようとする私
母にこう言われたことがある
死ぬまで責任持てないのなら
中途半端に 優しくしてはいけないのよと
それは優しさではないのと
一年ぶりに再会した
あなたは一人になったと 私にそう言う
私は悟られないよう 不意に驚いた表情を見せる
でも 心の中では なぜ今なのかとざわざわした
あの頃の 気持ちがふと蘇る
胸の中のどこかが ギュッと熱くなる
なぜあの時…
たくさんたくさん聞きたいことはあるけれど
何も伝えず 複雑な表情で微笑んでみた
神様のいじわる
それとも私を 試しているの?
あの頃とはもう違うから
今の私は 今を生きているから
私は結った髪を 勢い良く振りほどいた