目覚めよと呼ぶ声ではなく
佐々宝砂
夜更けにひとり目覚めていたり
残業のあと酒くさい終電にすわっていたり
まだ朝も暗い道を急ぎ歩いていたり
あるいは騒がしいファーストフードショップで
ふとお喋りがとぎれたり
そんなとき
いつも聞こえる声がある
言葉ではない
単なる声だ
だがただの音ではない
まさしく声だ
けれど
目覚めよと呼ぶ声ではなく
わたしはすぐ眠りにつく
自由詩
目覚めよと呼ぶ声ではなく
Copyright
佐々宝砂
2005-01-10 05:51:25