小鳥のように
yamadahifumi

何故、涙が出てくるのだろう

僕は今、何の理由も感情もない涙を

ひたすら流す

人生が寂しかったり寂しくなかったり

人から嫌われたり、好かれたり

夢を持ったり、誰かに幻滅したり

もうそんな事は全てとうに終わってしまった

僕には生きる喜びもなければ、死ぬ為の絶望も存在していない

なのに今この時、僕の両目から涙が溢れてくるのは何故だろうか?

この十月の庭に朝日が照っているのは

一体、何故だろうか?

・・・そして、僕は洗面台に顔を洗いに行く

そして、その前面の鏡に映った人間とは

一体、誰だろうか?

人々が失くした代償を探している時に

自分自身をどこかへと落としてしまった一人の人間とは一体、何だろうか?

・・・今、僕はふいに外へ出る

扉を押し開いて、外へと出る

外には軽い雨が降っているが、その上から陽光も照っている

午後になれば、完全に晴れになるだろう

そう思いながら、僕は近くのコンビニへと行く

そこの店員がいつものように機械染みていたとしても

やはり、僕はどこかへ行く

もう鳥籠の中を点検し尽くした

一匹の小鳥のように


自由詩 小鳥のように Copyright yamadahifumi 2013-10-30 09:18:04
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