小鳥のように
yamadahifumi
何故、涙が出てくるのだろう
僕は今、何の理由も感情もない涙を
ひたすら流す
人生が寂しかったり寂しくなかったり
人から嫌われたり、好かれたり
夢を持ったり、誰かに幻滅したり
もうそんな事は全てとうに終わってしまった
僕には生きる喜びもなければ、死ぬ為の絶望も存在していない
なのに今この時、僕の両目から涙が溢れてくるのは何故だろうか?
この十月の庭に朝日が照っているのは
一体、何故だろうか?
・・・そして、僕は洗面台に顔を洗いに行く
そして、その前面の鏡に映った人間とは
一体、誰だろうか?
人々が失くした代償を探している時に
自分自身をどこかへと落としてしまった一人の人間とは一体、何だろうか?
・・・今、僕はふいに外へ出る
扉を押し開いて、外へと出る
外には軽い雨が降っているが、その上から陽光も照っている
午後になれば、完全に晴れになるだろう
そう思いながら、僕は近くのコンビニへと行く
そこの店員がいつものように機械染みていたとしても
やはり、僕はどこかへ行く
もう鳥籠の中を点検し尽くした
一匹の小鳥のように