今日、狂、興爛La
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決められた路しか走れない鉄の匣の中に
小さな蝶が迷い込んで、ふいに私は其れを掴んだ。
翅を捥ぎ、手足を捥ぎ、壊さない様に、そっと、そっと、
のたうつことしかできない、木偶を作ったんだ。
私は其れを小さな保存瓶に入れて“飼う”ことにした。
すこおしだけ、蜜を入れてやって、壊さない様に、そっと、そっと。
嗚呼、これが人間だったら如何だろう? 私は考えた。
少しだけ変わる景色だけを眺めて、何を思うだろう? 私は想像した。
すると如何だろう、決して同じではない
毎日の景色、香りが此奴めには残されていた。
もっと、もっとみじめでなくてはならない。
私は、目を潰し、触角を捥ぐことに決めた。
壊さないように、そっと、そっと――あ。
嗚呼、嗚呼、アタマが取れて仕舞った。
此奴は壊れて仕舞った。するとどうだろう、
ころり、と。私のアタマが転がった。
何と言うことだろう。私はアタマだけで生きている。
神か何か、其う云う奴がそうしたに違いなかった。
私は左側を向いて止まった。
そこからどうしても、反対を向くことはできなかった。
しかし反対が向けても大したことはないと気付くと、
同時に、私にはほんの少しだけど、変わり行く景色や香りが残されていると思い至った。
と、同時に、目が潰され、鼻に栓をされた。
私には、暗闇と、思考だけが残された。
私は――生きている。