性春時代
永乃ゆち

愛してよ愛してよ愛してよ中指だけでも良いから

華奢な手の中性的なあの人が男に変わる瞬間が好き

端正な横顔が好き整った髪型が好き全部壊して 

SEXを『性行為』と言うあの人がたまらなく好き動物として 

処女膜を縫い合わせてる仕立て屋に駆け込んだのよあなたに会って 

愛すべき過ちがある誰にでも 女に始まり女に終わる 

健全な男子が一層健全になりうる深夜のアダルトコーナー 

ふと指を置いたところにあの人の指があったのそれが始まり 

真っ白いシーツに染みを付けたのは誓いの唄か呪縛の傷か

男には分からないのね女ってみんな地球を孕んでいるのよ 

人類の最初は女だ宇宙とは君の子宮の中の出来事

中指が一番長いその訳を今夜初めて知ったアダムよ

私など何処にでもいる女です生理になれば血だらけになる

私より華奢である手で私より激しく触れる私である場所

あの人はモルヒネでした。わたくしの一番痛い場所を知ってた。


短歌 性春時代 Copyright 永乃ゆち 2013-10-26 07:35:03
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