夜が終わる音を聴いてみたくて
カンチェルスキス




 夜が終わる音を
 聴いてみたくて
 ふとんから顔だけ出して
 ひっぱった毛布の端で
 口元の辺りが隠れている
 暗い水槽の中で
 向きを変える熱帯魚の尾ひれは
 水を斜めに切って
 続くことがこれからも続くのだ
 鍵のかかった部屋をぐるりと
 回ってどこへも行かない
 かすれてつぎはぎだらけの時間のほころびを
 縫い合わせてきたものが
 街の尾根を這って遠ざかる
 夜の手と
 朝をめぐる軋み
 枯れてひび割れた唇に
 滲む血
 夜が終わる音を
 聴いてみたくて
 朝がはじまる音に
 包まれている

 








自由詩 夜が終わる音を聴いてみたくて Copyright カンチェルスキス 2005-01-07 19:52:30
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