夜が終わる音を聴いてみたくて
カンチェルスキス
夜が終わる音を
聴いてみたくて
ふとんから顔だけ出して
ひっぱった毛布の端で
口元の辺りが隠れている
暗い水槽の中で
向きを変える熱帯魚の尾ひれは
水を斜めに切って
続くことがこれからも続くのだ
鍵のかかった部屋をぐるりと
回ってどこへも行かない
かすれてつぎはぎだらけの時間のほころびを
縫い合わせてきたものが
街の尾根を這って遠ざかる
夜の手と
朝をめぐる軋み
枯れてひび割れた唇に
滲む血
夜が終わる音を
聴いてみたくて
朝がはじまる音に
包まれている