転勤族のふるさと自慢その3
Dr.Jaco


青森市内の鳥達

、と言っても、ゴミ収集場にカラスが居るには変わり無い。(雪の中、他に
エサがある訳も無く)

でもカラスの遥か上空を、近く(20キロくらい北東)の浅所海岸からと思
しき白鳥が飛ぶ。かつてNTTのCMで鳴いたように「コウコウ」と言って
鳴く。鳴くのを見ながら通勤するのは不思議な気分である。
その内、産まれたヒナを連れての飛行訓練が始まる。ちょっと黒っぽいヒナ
が編隊に囲まれて鳴きながら飛んでいるのを見るのは、「何とか今年も冬を
乗り切れそうだ」と思える2月中旬以降か。

如何にも愛おしくなるような白鳥であるが、実際浅所海岸へ見に行って、エ
サをやっていると、その余りの鈍さに「こいつは本当にシベリアとかカムチ
ャッカとかから渡って来たのだろうか」と思ってしまう。
パンを1斤ほど持って行き、ちぎってやるのだが、90%は近くにいるウミ
ネコ(かカモメ)に持って行かれる。そして「コウ」と鳴きながら人間をじ
っと見てエサ乞いする。手渡ししてやろうとすると尻込みする。
じれったいのが愛おしいというのだろうか。別の日にまたエサをやりに来て
しまう。

春は岩木川の川原へ行くと、キツツキの仲間がドラミングしている。(コン
コンコンコンという音を出す)かつて知床で見たクマゲラのドラミングには
感動したが、川原で簡単に見てしまうと、何かしら日常が豊かで贅沢になっ
たような気がした。
ウグイスなんて、もちろん近所で鳴きまくっている。鳥かごの中の家、なん
てチンケな発想しか出てこない都会人。

夏は更に滑稽だ。6時半位に出勤すると、家の近所で必ずカッコウに遭遇す
るのだ。この地に来るまで、カッコウがあんなに不格好な鳥とは知らなかった。
重そうな図体が空中に必死にしがみつくような飛び方で、平然と「カッコウ」
なんて鳴いている。
朝イチの仕事を真面目に考えながら歩いている自分が「ケッコウ、コッケイだ
な」とか、正直思ってしまうのだ。
満員電車の中とは明らかに思考の脈絡が変わってしまう、リズムの乱れがカッ
コウであった。

職場の仲間(ネイティヴ青森人)は、2泊3日で東京に遊びに行くと、3日目
でジンマシンができるらしい。水のせいだそうである。
2年ぶりに降りた東京駅は、岩木山の春霞と似た視界に、似ても似つかぬ淀み
を孕んでいた。
青森の鳥達は軟らかい青森の水(青森は軟水です)しか飲めないのであろう。
私も青森の水でしか焼酎が飲めなくなっているのがコワイ。
飲み過ぎるのもコワイ。

ではまた。


散文(批評随筆小説等) 転勤族のふるさと自慢その3 Copyright Dr.Jaco 2005-01-07 00:39:46
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