世界が終わった朝
AquArium

きみの薄い膜がやぶれる理由や
まなざしが冷たくなっていくときを
ぼくは近くで見ていた

さいごに聞いたきみの笑い声は
お笑い芸人のコントだったね
年の瀬 新しく歩んでいく(はずだった)世界

(同じ屋根の下
 想うほどに傷つけあう夜は
 不快な暑さに魘されて
 確実に乖離していくすれちがいの愛
 正当化することで精一杯だった、ぼくらのうそ)


 なぜひとつになったのか
 相変わらず熱くなったきみを
 なんの疑問もなく受け入れながら
 ツナギトメル
 2012年さいごの朝
 ―ぼくが欲しかったのは
    許容できるおんなじ温度の細胞―


きみの薄い膜がやぶれる理由や
まなざしが冷たくなっていくときを
ぼくは遠くで無視した

剥ぎ取られるベッドシーツと
せっせと身支度するきみの背
焦っていたね とても


 掻き消すように
 包んで離して吸い込んだきみを
 半分嘲笑い泣きながら
 ツナギトメル
 2012年さいごの朝
 ―ぼくが欲しかったのは
    ぼくが欲しかったのはそのままのきみ―


(同じベッドの中
 少し怖い寝息に刻む秒針の音は
 夜明けが恐ろしい速さで
 襲ってくるのを手助けした
 寝たふりをして噛み殺す、ぼくのいたみ)


自由詩 世界が終わった朝 Copyright AquArium 2013-09-08 23:56:26
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